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2015
03.26

34回目 日本酒のイメージ

Category: 日本酒
sakeiro.jpg


日本酒って言うたらどんな酒を想像するのやろ。

業界にいてる自分らでは当たり前のことでも、一般の人からみるとそうでもなかったりするのは当然やわなあ。

今回は「ちゃんと説明せなわからんやろ」って話。


日本酒が嫌いな人は、「変な臭いがして、甘くてべとべとするし、飲んだ人の後も臭い」なんて人も多いのとちがうかなあ。

一方、大吟醸酒が好きな人は、「良い香りがして、すっきりしてて飲みやすい」っていう人もいるやろなあ。

若い人の中には、「日本酒ってお米から造るって本当ですかあ~?」「燗って何ですかあ~?」っていう人にも遭遇したことあるけど、「むかし、日本とアメリカと戦争したらしいって知ってるか?」っていう若者の話を聞いたときほど違和感がなかった気がするなあ。


一般に60才位以上の男性にとっては、いわゆる熱燗がお銚子で出てくるイメージとちがうかなあ。

お猪口やぐい呑みで居酒屋や宴会やもちろん自宅で飲む酒って、酒そのもののイメージはどうやろ。

色は無色透明で、香りはさほど気にしなくて、味は塩辛やお刺身、焼き魚、煮付けなんかと合うし、そんなもんやろって感じかな。銘柄も何であれ、「それほどまずくなければ良しとするか」ってな調子で。

そんな先輩方にとって、突然冒頭写真のような色があって、酸味の強いお酒が出てきたらどうやろ。

まず、「古いのと違うか?」「傷んでるのとちがうか?」「酢になりかけてるのと違うか?」って疑うのとちがうかなあ。

そして、日付を見てみると、酒造年度は三年前、製造年月は一年前やったとする。そしたら、疑いが確信に変わって、お店にクレームいいたくなるやろなあ。

実は、この前お客様からお問い合せがあってん。「よそから頂戴したお酒が、茶色くて酸っぱくておかしいと思うねんけど、どうやろ」って。

「山廃」や「生もと」って書いてあるだけで、他に何も説明なかったら、そうなって当然やと思う。
ことわっとくけど、山廃、生もとが全部こんな酒やって言うてるのと違うて、今回のケースではってことやねん。
それと、昔からこういったお酒を好んで飲んでる人は別やで。

そのお酒をいただいて飲んでみると、色は山吹色っていうよりビールのようにもっと茶色い感じで、「山廃」ってラベルにあるお酒によくあるタイプの「うま口濃厚でありながら後切れの良い」ってされるお酒で、一年前やったらもう少しすっきりしてたかなあって感じの味わいやった。

蔵元のねらいの味はどんななのか、飲んだだけでは断定できへんけど、結果的には残念になってしまったのはどうもね。


自分としても、蔵から瓶詰め出荷する製造年月は、その酒の飲み頃であるし、なるべく早く消費した方がいいという認識やったし、今も変わってない。

問屋や小売店や飲食店が、勝手な判断で熟成させるのは、いかがなものかって今でも思ってる。

今回の場合、ラベルに酒造年度と製造年月を並記してあって、蔵元としては配慮がされてると思う。

けど、小売店で一年寝てたことは事実やし、お客さんがお店に電話で問い合わせると「何が悪いんですか?ワインだったらクレームにならないでしょう。同じことですよ。燗したらいいんですよ。この酒はそういったお酒です。」ってつっぱねるのはどやろ。


最近では、生酒でも、蔵出し後流通段階で熟成させるのが平気な場面に出会うけど、お客さんの好みで古くするのは勝手としても、お酒を扱うプロが、独りよがりの判断で、販売する酒を古くするのはどうも理解できへん。

今回のお酒のように、ある程度熟成させた方が真価を発揮するタイプのお酒は、蔵元の判断で出荷前に熟成させてるはずやし、出荷後はなるべく変化しないように願ってるはずやと思うねんけどなあ。いずれにせよ説明不足のような気がする。

それに、どうもこの頃、あまりにも極端に「酸がどうの」って言い過ぎてるんとちがうかなあ。

ちまたではびこる、「日本酒通」ってなんやねん。この方たちのおかげで地酒が売れてるんやけどね。ありがたいねんけどね。

いろんなタイプのお酒があってこそ面白いと思うねんけど、どうも最近偏りすぎてない?

お酒は、「酸がはっきり感じられて、味がしっかりしてるのが良い酒で、色は関係ない。」ってほんまか?

「搾った時はお酒には色があるんです。無色透明なのは炭素で濾過してるんです。」って説明もほんまか?

確かに米から造った酒は、若干の黄緑色してる。でもそれは大きいタンクに入れてわかる程度のお酒が一般的であって、自分ではその方が好みやね。炭素なんか使わんでも色の少ない酒はあるし、低温熟成やったら色も増えにくい。

それと、ワインと同じっていう発想は、どうしても受けつけへんのは考えが古いのかなあ。

せやけど、ワインと同じって言うんやったら、勝手に古くした酒のことを、どこかのソムリエさんみたいに、説明はきちんとせなあかんのと違うかなあ。

お客さんに投げつけて、受けられへんのはそっちが悪いっていうのと違うて。


あかんあかん、人のふり見て我がふり直せやね。






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2015
03.13

33回目 飲み歩き

Category: 日本酒
082-2.jpg
ゆり工房の錫酒器

昨日のことやけど、久々に一人で「大阪南飲み歩き」ってやってみてん。

勉強になるからっていうのは「いいわけ」で、単に飲んべえの遊びやねんけど。

それでも行った店それぞれ感じることあったんで、ブログに書いてみることに。

まず一軒目はちょっと贅沢してミシュラン二つ星の予約が取れないっていう有名懐石割烹。

どんな形でお酒がサービスされるのか楽しみにしててん。

お昼のコースやったけど、お客様は年配の主婦の方ばっかりで、男性はほとんどおらんかった。

お料理はさすがに美味しかったし、見た目も綺麗で趣向が凝らされてた。

最初、冷たいお酒を頼んだら、写真の錫器で出てきた。もちろん美味しかったし値段も一流やった。

お勘定まで飲み物の値段はわからんかってんけど・・・

次に、「燗のお酒ください」って言うてみた。日本酒の燗は微妙なとこあるし、どうなんやろと期待して。

温度の好みは聞いてくれへんかったんで、お酒に合わして最高に美味しい温度で出してくれるんかなあと思ってたら、出てきたお酒は「とびきり燗」やった。

それで、お猪口にそそぐと、黒い小さな異物がぱらぱら入ってて底に沈んでん。クレーム言うのも気が引けたけど、なんぼなんでも気持ち悪いし、異物が何かもわからんし、逆に原因も知りたいこともあって、「何か入ってます」って言うたんよ。

そしたら、もちろん気持ちいい対応で交換してくれた。ちょっともったいなかったけど・・・・

そしたら、今度は上燗で出てきて、美味しかったけど、また入ってるんよ。黒い点々が。

自分としても普段はお酒を提供する側やし、お店が悪いとかいうつもりやないし、腹もたたへんねけど、やっぱり日本酒の燗て怖いなあとつくづく思ったんよ。

この度はお店の人もすぐには原因がわからんみたいやった。

メーカーとしてお酒を販売してたころ、こんなケースの場合、蔵元にクレームが回ってきて、いわれのないことで謝りにかけつけたことが多々あった。

今は、明らかに製品に欠陥がある場合以外は、メーカーにクレームは行かんやろけど、昔は弱い立場の地酒蔵は悲惨やった。「水詰まってる」「なんぼ飲んでも酔わへん」なんていいがかりもあったのを思い出したわ。

せやけど、超一流店でも「お酒に関しては料理ほどこだわってないねんなあ」って印象やね。店によるやろけど。

二軒目は、ちょっと買い物してから女将さんが地酒にこだわってることで評判の小料理屋さんへおじゃましてん。

まだ早い時間やったし、お客さんはお酒に詳しそうな男女一組だけやった。

いろんな地酒が並んでて、今は、知ってる蔵でも昔と違った銘柄が多くて、こんな店では自分としては素人同然って感じやねえ。

それで何頼もうか銘柄ではイメージわかへんので、ここは女将さんにまかせることにして「すっきりしたんください」って言うてみた。

すっきりした酒っていうたら自分としては本醸造の淡麗辛口タイプが出てくるんかと思ったら、さにあらず、「純米無濾過生原酒」やった。「うちでは一番すっきりしてるお酒です。」っていうことやった。

個人として飲むときは淡麗タイプが好みやし、生原酒はしんどいし、二軒目やったし、確かに美味いけどちょっとがっかりで「今度は火入れしてて、すっきりのお願いします。」ってたのんでみた。

そしたら、自分としては「ごっつい印象」の酒が出てきた。2杯ともハーフサイズで頼めたんがよかったけど。

「2杯とも確かに美味しいけど美味しすぎるっていう感じです。」って言うてみた。

そしたら、「今日本酒を牽引してるのはこういうタイプです。こういったお酒があるから、地酒が人気なんです。」ってぴしゃりと言われた。クレーマーと間違われたか、同業界の人間ってばれて煩わしく思われたか、女将の機嫌を損ねてしもた。

どうも、「飲み方をわきまえてない人」みたいで沈んだ気持ちになったんで、もう一軒今度はバーにおじゃました。

初めてやったけど、前から行ってみたかった店やってん。

お客さんは誰もいてなくて、マスターは気軽にしゃべってくれた。ここでは日本酒は飲まんとシェリーとスコッチにした。

今度はお酒関係の人間やと言った上で、いろいろ教えてもらった。勉強になった。

話が盛り上がったところで、二軒目のお酒の好みの話を聞いてもらった。

マスターは、
「一時赤ワインでも、濃くて渋いのが良いワイン、と思ってる人が多かったじゃないですか」「今はわかってる人が増えましたけど」

なんかちょっとすっきりして、酔っぱらって店を出た。

駅にたどり着いて、よせばいいのに酔っぱらいの悪い癖で、駅ナカ立ち飲みにふらふらと吸い寄せられた。

知り合いのマスターに「一杯だけおすすめで」って、

出てきた酒が「純米吟醸無濾過生原酒」。


「今日はこのぐらいにしといたるわ。」ってか。しゃんしゃん。




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