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2014
09.22

28回目 ひやおろし

Category: 日本酒
DSC00110-4.jpg
「睡龍 生もと純米吟醸 蔵内5年熟成」「しょ醇 蔵内10年熟成」


味が載るっていうやろ。
そもそも 「のる」っていう漢字は「載る」でいいのよなあ。ってとこから始まって。

昨今、日本酒の何回目かのブームらしい。オタク、マニアが増えた気はするけど、一般にはあんまり実感はないなあ。

秋になると酒蔵と地酒屋さんは「ひやおろし」を前面に押し出して、ブームを煽ることになる。

「ひやおろし」の説明はどこにでも書いてある通りやけど、最近の「ひやおろし」は宣伝文句で無理矢理って感じがするねんな。

そういう意味であんまり好きやない。けど、自分の好き嫌いって言うてられへんほど、酒蔵がこぞって商品を出してくる。

そもそも、大手酒蔵全盛で、地酒蔵のほとんども、普通酒が出荷の中心やったごく最近まで、夏までは前年度のお酒を中心に出荷して今年度のお酒はブレンドしてた。年中そんなに味わいが変わらんようにか、単に売れ残ってたからかも知れんけど。

そんな中、夏過ぎに「呑み切り」って行事がどの蔵でも行われてて、新酒を春に火入れ貯蔵した桶をすべて「きき酒」してみて、熟成具合を確かめるといったことをやってた。それから本格的に今年度の酒の出荷が始まった。秋晴れしたお酒を出荷するのはある意味常識やった。燗で呑むのが当たり前の時代やったからかもしれんねえ。せやけど、出荷時には炭素濾過して色も味もわざわざ抜いててんけどね。わけわからんやろ。

その頃も、夏過ぎて蔵内温度と外気温があんまり変わらん様になった時期、原酒でそのまま瓶詰めして楽しむっていう「ひやおろし」はあるにはあったけど、炭素濾過しない生詰めっていうことからか大手はあんまり積極的ではなかったし、淡麗辛口全盛時代、地酒蔵もほとんど出荷してなかった。

最近では、冬から春夏にかけて「生酒」が一段落したあとの販売戦略として「ひやおろし」が出た来たけど、それは以前のものとはちょと意味合いが違うものやね。

特別純米や純米吟醸が中心になってることもあるし、お客様側も受け入体制が整ったって感じやね。

それは味わいの好みの多様化と許容範囲の広がりがあると思うし、提供側もそれを生酒の時期からもつくってきたとも言える。

というのは、「味の載り」っていうものが理解されるようになったってことやねんな。この頃は特に、味の載った、味に幅、厚みのある、下品にいうたら味の濃いお酒が好まれるようになったと感じるし、それはしぼりたて生酒の味わいも同様で、さらには生酒をわざわざ熟成させるってことも異端やなくなってる。

個人的には「淡麗辛口」全盛時代に造ってたこともあるからか、若くて堅い方がいまだに好きやねんな。昔の人間って感じやね。熟成の美味しいのはわかるけど。

生もと系の純米酒の熟成なんか、こんなに多くの人が受け入れる時代になるとは思わんかった。

若い女性が、アイラのシングルモルトをハイボールで呑む時代やから、驚いてるのがおかしいかもしれんけど。

以前にも書いたけど、自分が造ってるときは「老ね(ひね)」っていうものとの戦いやった気がする。まず「色」やね。黄金色とも呼ばれる色は炭素で除去せんと「古い酒や」って怒られた。次ぎに「老ね香(ひねか)」って呼ばれる熟した香り。これも嫌われた。「味」はくどいって言われた。

そしたら、現代の「味載りした熟成酒」と「老ねた酒」とは違うのかってことやけど、確かに違う部分と同じ部分があるように思う。

同じ部分はあるけど飲み手の感じ方が明らかに変わってきたようやね。生酒でも熟成による「生老ね香」をあんまり気にしてない人が多いし、まして火入れ熟成酒って銘打ってる「ひやおろし」の熟成風味は素直に受け入れてる。

ちょっと行き過ぎてるぐらい味の濃厚なものが好きな人が多い気もするけど。単に淡麗な中の旨みが判別できへんだけかもしれんっていうたら怒られるかなあ。

違う部分ということでは、味が格段に進化してる。「うまく老ねた(ひねた)」っていうんか、「コクがあるけどキレがある」っていうんかなあ。「濃いけどしつこくない」っていうんかなあ。とにかく旨い酒がいっぱいやね。自分にとっては「旨すぎてしんどい」って変かなあ。

自分的には修行不足で無理ぎみやけど、しっかり「味載り」したお酒をぬる燗で味わえたら一人前ってとこかな。

冒頭の写真のお酒は「熟成酒」やね。これは「熟成そのものを楽しむお酒」ってことの理解でいいと思う。

これはバーで食後にゆっくり味わうようなお酒やけどおいしいよ。ここまでいくと一般の日本酒とは分けて考えなあかんと思う。「味載り」の局地やね。

せやけど普通に呑むねやったら、やっぱり「淡麗辛口」は捨てられへんなあ。無味の旨みっていうかなあ。わかってくれる?



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